研究概要 |
Cry.症のヒト、イヌ、、ネコ等の保有率の調査及び臨床疫学的研究について、本邦における人畜共通感染症としてのイヌ、ネコ、フェレット等22種類のペットにおけるCry.の保有状況について糞便の蔗糖浮遊法により調査を行い、知見を得たので報告を行う。 今回の調査に参加した獣医科医院数は22施設であり、動物種及び症例数/検体数は、ヒト11/13,ウシ61/61,イヌ180/185,ネコ86/90、ウサギ27/27、フェレット46/51、ハムスター18/20、プレリードッグ5/5、インコ4/5、マウス2/2、アライグマ1/1、イグアナ1/1、ウズラ5/5、ヒョウモンガメ 1/1、ハト1/1、タヌキ5/5、ヒヨドリ3/3、ムクドリ3/3、ムササビ1/1、トリ1/1、チャボ1/1、ミーアキャット1/2、バーニーズ1/1計465/484であった。この中でCry.のオーシストが検出されたのは、イヌ1例(0.6%)、ウシ2例(3.3%)、フェレット3例(6.5%)であった。また、現在もフェレットの2例については経過観察中であり、オーシストの排出が継続している。この便の性状は健康便が多いことから、飼育環境中への拡散から感染が成立する可能性が高いと考えられ、重要な問題であると考えられた。また、1999年7月には日本小動物獣医師会の招請により、年次大会の教育講演として『Cry.の今日的な話題と検査法(実習)』を行った。蔗糖浮遊法による検査法の実習は和歌山、東京、千葉、新潟で行ない、他にも招請講演を10件程行い、実習・講演の効果を認めた。この実習結果から、Cry.のオーシストが極小であることにより、他の寄生虫の検査以上に、顕微鏡操作および'目合わせ'が重要であると考えられた。 動物の飼育・生活環境、価値観の変化等の要因により、一時的な調査を行うのではなく、今後とも継続した調査を行う必要があると思われた。以上のことから、現在も経過観察を行っており、欧文ジャーナルへの投稿は本年後半になる予定である。
|