1999 年度実績報告書

新しい腫瘍関連抗原TSP-1の遺伝子及び蛋白レベルでの発現解析

研究課題

研究課題/領域番号	10672194
研究機関	福岡大学
研究代表者	黒木政秀福岡大学, 医学部, 教授 (40122692)
キーワード	腫瘍関連抗原 / 細胞外マトリックス / トロンボスポンジン-1 / TSP-1 / モノクローナル抗体 / サイトカイン / インターロイキン-10 / 腫瘍マーカー
研究概要	Thrombospondin-1(TSP-1)はもともと血小板α顆粒より産生される分子量約450kDaの糖蛋白として報告されたが,現在では繊維芽細胞,血管内皮細胞など種々の細胞での産生が知られている.最近TSP-1に対して数種のモノクローナル抗体が作製され組織免疫染色などに用いられているが,その特異性など不明な点が多い. そこで我々はまずTSP-1に対する新たなモノクローナル抗体の作製を試みた.TSP-1を精製したあとBALB/cにマウスを免疫し,細胞融合によりハイブリドーマを作製した.最終的にIgM抗体6種,IgG1抗体4種,およびIgG3抗体3種が得られた.エピトープを解析した結果,いくつかの特異性の違うモノクローナル抗体が確認され,癌患者血清中のTSP-1レベルを測定できるものと癌の組織検索に有用であるものとが確認された. 一方,TSP-1は細胞外マトリックス(ECM)に分類され,炎症や傷害部位では大量に放出されて多彩な接着部位を持つため多くの物質に結合する.またTSP-1はTGF-Pの主な生体内活性化物質である.これらのことからTSP-1の免疫系に与える影響に興味が持たれる.そこで我々はTSP-1の抗原提示細胞(APC)およびAPCとT細胞の反応系に対する影響を,分泌されるサイトカインを指標にして調べた.その結果,可溶型のTSP-1はPHAで刺激された系でT細胞の増殖を抑制し,またAPC によるインターロイキン-10(I1-10)の産生を亢進させ,炎症反応や免疫反応の場において,反応の終息に重要な役割を担っていること世界で初めて証明した. 以上の結果は,TSP-1がある種の癌で腫瘍マーカーになる可能性を示唆するとともに,生体におけるTSP-1の機能の一つを証明する極めて重要な所見である.

研究成果

(8件)

すべてその他

すべて文献書誌 (8件)

[文献書誌] Nakamura,K.,Yuh,K.,Sugyo,S.,Kuroki,Ma.,Shijo,H.,Matsuka,Y.: "Unresponsiveness of peripheral T cells induced by intrusion of apoptotic bodies derived from autologous T cells"Cell.Immunol.. 19302. 147-154 (1999)
[文献書誌] Emi,K.,Nakamura,K.,Yuh,K.,Sugyo,S.,Shijo,H.,Kuroki,Ma.and Tamura K.: "Magnitude of activity in chronic hepatitis C is influenced by apoptosis of T cells responsible for hepatitis C virus"J.Gastoroenterol.Hepatol.. 14・10. 1018-1024 (1999)
[文献書誌] Kuroki,Ma.,Matsushita,H.,Matsumoto,H.,Hirose,Y.,Senda,T.and Yamamoto,T.:: "Nonspecific cross-reacting antigen-50/90(NCA-50/90)as a new tumor marker"Anticancer Res.. 19・6C. 5599-5606 (1999)
[文献書誌] Miyajima-Uchida,H.,Hayashi,H,Beppu,R.,Kuroki,Mo.,Arakawa,F.,Kuroki,Ma: "Production and accumulation of thrombospondin-1 in human retinal pigment epithelial cells"Invest,Ophthalmol.Vis.Sci.. 41・2. 561-567 (2000)
[文献書誌] 別府理智子,荒川文子,山本貴文,黒木求,山下裕一,白日高歩,黒木政秀: "Human thrombospondin-1に対するIgGモノクローナル抗体の作製"日本癌学会総会記事. 89・Suppl.. 617 (1998)
[文献書誌] 別府理智子,中村研,黒木求,黒木政秀: "トロンボスポンジン-1のマクロファージ及びT細胞のサトカイン産生に対する作用"日本免疫学会総会・学術集会記録. 29・1. 134 (1999)
[文献書誌] Kuroki,Ma.,Xu,Z.,Senda,T.and Arakawa,F.: "Recent Research Developments in Immunology,Vol.1"Research Signpost(Korala). 120 (1999)
[文献書誌] 山本貴文,荒川文子,中村研,黒木求,松本久伸,阿部裕典,黒木政秀: "腫瘍マーカー研究会誌,第14巻(石井勝,編)"腫瘍マーカー研究会(東京). 184 (1999)

1999 年度 実績報告書

新しい腫瘍関連抗原TSP-1の遺伝子及び蛋白レベルでの発現解析

研究代表者

黒木 政秀 福岡大学, 医学部, 教授 (40122692)

研究成果

[文献書誌] Nakamura,K.,Yuh,K.,Sugyo,S.,Kuroki,Ma.,Shijo,H.,Matsuka,Y.: "Unresponsiveness of peripheral T cells induced by intrusion of apoptotic bodies derived from autologous T cells"Cell.Immunol.. 19302. 147-154 (1999)

[文献書誌] Emi,K.,Nakamura,K.,Yuh,K.,Sugyo,S.,Shijo,H.,Kuroki,Ma.and Tamura K.: "Magnitude of activity in chronic hepatitis C is influenced by apoptosis of T cells responsible for hepatitis C virus"J.Gastoroenterol.Hepatol.. 14・10. 1018-1024 (1999)

[文献書誌] Kuroki,Ma.,Matsushita,H.,Matsumoto,H.,Hirose,Y.,Senda,T.and Yamamoto,T.:: "Nonspecific cross-reacting antigen-50/90(NCA-50/90)as a new tumor marker"Anticancer Res.. 19・6C. 5599-5606 (1999)

[文献書誌] Miyajima-Uchida,H.,Hayashi,H,Beppu,R.,Kuroki,Mo.,Arakawa,F.,Kuroki,Ma: "Production and accumulation of thrombospondin-1 in human retinal pigment epithelial cells"Invest,Ophthalmol.Vis.Sci.. 41・2. 561-567 (2000)

[文献書誌] 別府理智子,荒川文子,山本貴文,黒木 求,山下裕一,白日高歩,黒木政秀: "Human thrombospondin-1に対するIgGモノクローナル抗体の作製"日本癌学会総会記事. 89・Suppl.. 617 (1998)

[文献書誌] 別府理智子,中村 研,黒木 求,黒木政秀: "トロンボスポンジン-1のマクロファージ及びT細胞のサトカイン産生に対する作用"日本免疫学会総会・学術集会記録. 29・1. 134 (1999)

[文献書誌] Kuroki,Ma.,Xu,Z.,Senda,T.and Arakawa,F.: "Recent Research Developments in Immunology,Vol.1"Research Signpost(Korala). 120 (1999)

[文献書誌] 山本貴文,荒川文子,中村研,黒木求,松本久伸,阿部裕典,黒木政秀: "腫瘍マーカー研究会誌,第14巻(石井 勝,編)"腫瘍マーカー研究会(東京). 184 (1999)

1999 年度実績報告書

黒木政秀福岡大学, 医学部, 教授 (40122692)

[文献書誌] 別府理智子,荒川文子,山本貴文,黒木求,山下裕一,白日高歩,黒木政秀: "Human thrombospondin-1に対するIgGモノクローナル抗体の作製"日本癌学会総会記事. 89・Suppl.. 617 (1998)

[文献書誌] 別府理智子,中村研,黒木求,黒木政秀: "トロンボスポンジン-1のマクロファージ及びT細胞のサトカイン産生に対する作用"日本免疫学会総会・学術集会記録. 29・1. 134 (1999)

[文献書誌] 山本貴文,荒川文子,中村研,黒木求,松本久伸,阿部裕典,黒木政秀: "腫瘍マーカー研究会誌,第14巻(石井勝,編)"腫瘍マーカー研究会(東京). 184 (1999)