研究課題/領域番号 |
10672195
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
良村 貞子 北海道大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (10182817)
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研究分担者 |
平塚 志保 北海道大学, 医療技術短期大学部, 助手 (10238371)
佐藤 洋子 北海道大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (90162502)
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キーワード | 看護婦 / 法的責任 / 注意義務 / 医療事故 / 業務 |
研究概要 |
1990年代のRN(Registered Nurse)、NP(Nurse Practitioner)およびCNM(Certified Nurse Midwife)に関するウィスコンシン州の法令を翻訳し、日本の保健婦助産婦看護婦法との免許制度および業務内容の比較を行った。アメリカ法は看護過程を明確に定義づけ、その業務内容を詳細に規定している。日本法では保健婦以外、名称独占の規定がないが、アメリカ法は全看護職が名称独占に関する規定を有する。また、患者の異常状態を観察した時の対応は、日米とも同様に医師への報告義務がある。但し、日本の看護職は緊急時の異常事態への対応を主体的にできるとの解釈が可能である。アメリカではプロトコール(医師と共同して作成)に基づき、看護職は業務を遂行する。日本法にはこのような規定は存在しない。医療事故判例の日米比較において、両国とも単純ミスによる事故が多い。特に、観察業務において、日米とも看護職の主体的な判断が求められてきている。今後、特に日本では、看護教育の高度化に伴い、より専門性の高い注意義務を負うこととなろう。 看護職の過失に基づく損害に対しては、両国とも使用者責任が問われている。この場合、使用者の指揮・監督責任がどの範囲にまで及ぶかが問題となるが、看護婦の選択、適性配置、能力の査定等を十分行ったかが問われている。 短期間の入院が一般化しているアメリカにおいても、現在、短縮を図っている日本においても、看護職の役割は、病院等の施設内に留まらず、在宅ケアに拡大している。従って、患者および家族への療養指導に関する責任がより一層問われる可能性がある。日本の看護職も患者や家族に療養指導を行う場合には、アメリカのようにホーム・マネージメントに関するガイドラインやチェックリストを作成し、これに基づいたケアが求められることとなろう。
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