研究課題/領域番号 |
10672202
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
稲垣 美智子 金沢大学, 医学部, 教授 (40115209)
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研究分担者 |
松井 希代子 金沢大学, 医学部, 助手 (90283118)
河村 一海 金沢大学, 医学部, 助手 (50251963)
平松 知子 金沢大学, 医学部, 助手 (70228815)
中村 直子 金沢大学, 医学部, 助手 (30303283)
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キーワード | 低血糖 / 無自覚重症低血糖 / インスリン依存型糖尿病 / 若年発症糖尿病 / 糖尿病教育 / 心理的課題 |
研究概要 |
若年発症の糖尿病患者の重症無自覚低血糖は、対応がうまくいかないと意識消失に進み、身体的な害だけではなく、社会適応への影響もあり、医療者にとってはその教育が重要な関心事である。しかし対象が目覚しく発育する身体状態にあり、インスリン調整による医学的な対応には限界があるといわれている。そこで小児糖尿病サマーキャンプへ参加した患者で、研究に協力の承諾がとれた人および家族を対象に下記の視点から調査し、課題と教育方法を検討した。 1)重症無自覚低血糖の実態、重症無自覚低血糖エピソード、重症無自覚低血糖が及ぼす生活への影響 2)重症無自覚低血糖の教育課題、教育の実態 その結果、重症無自覚低血糖は、対象者の約10%にみられ患者本人より、家族への心理的負担を増大させており、低年齢に初回の重症無自覚低血糖を体験した人ほど、年齢が進んでもその既往が多いことも明らかになった。しかし一方で、うまくコントロールできるようになった経験者とそうでない患者のエピソードからは、学校との連携のしかた、周囲への糖尿病であることの周知のしかたの違いがあることも明らかになった。既存の知見では、年齢が重なるにつれ、重症無自覚低血糖の頻度は減少するとされているが、本研究では年齢だけではなく、体験を知識にする過程、心理的負担、社会の中での受け入れられかたに対する認知、自己尊厳などが関連していることが示唆され、今後の若年発症の糖尿病患者の重症無自覚低血糖に対する教育方法への示唆となった。
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