本研究の目的は、死生観をめぐる現代の日本人の意識変化を把握し、死生観を育む教育の模索を現実的で有効なものとするための死生観測定尺度の作成である。本年度の研究実績概要を以下に示す。 1.死生観の概念に関する自由記述式調査の継続 平成10年度に実施した死生観の概念に関する自由記述式調査を継続し、高校生〜社会人516名から有効回答を得た。質問紙は、属性、死生観に関する尺度作成のための自由記述式質問(「人間の生命」「人間が生きるということは」「人間が死ぬことを考えると」「人間の死」「死後の人間は」を主語とする用紙と、「私の生命」「私が生きるということは」「私が死ぬことを考えると」「私の死」「死後の私は」を主語とする用紙の、2種類の質問紙を作成し対象を2群に分け、文章完成法で回答を得た)から構成した。 2.調査結果の質的分析 自由記述を内容の類似性から分類し、死生観の観点別に整理した結果、死とはどのようなものか369件、死後の生515件、死に対する情動反応283件、死に対する心構え266件、生のとらえ方561件、生命観461件の記載があり、それぞれ27、16、10、15、41、23項目にコード化された。 3.死生観測定尺度の下位尺度を洗練するための質問紙の作成及びプレテストの実施 コード化された132項目が下位尺度として妥当であることを確認する目的で二次調査を行うための質問紙を作成し、プレテストを実施した。 4.プレテストに基づく調査項目の修正及び二次調査の実施 プレテストの結果に基き調査項目を修正し、属性などに関する項目を追加し最終的に140項目からなる質問紙を作成した。平成12年1月より600名を対象に二次調査を実施しており、現在も回収中である。
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