介護保険制度導入後において、行政機関保健師が在宅療養者と家族の生活を支援するために求められているケアコーディネート機能として、以下の事項が調査研究から明らかになった。 1.介護保険が導入された後に在宅療養に関わる介護支援センター、訪問看護職、訪問介護職等へのアンケート結果から、保健師はサービス担当者会議に参加して、在宅療養者に利用できる介護保険サービス及び介護保険以外のサービスに関する機関、内容等の情報提供の提供、困難事例への介入・助言・指導が求められており、これは従来からのケアコーディネート機能と同じであった。 2.入院中から介護保険を申請し、医療機関を退院と同時に介護保険サービス導入する希望者が増えていることから、退院患者の在宅医療を支援するために、医療機関内に総合相談室、地域連絡調整室等を設置して、病院間の連携、病院と診療所の連携を取っていた。保健師はこのような医療機関と連携を強め、地域全体の医療・保健・福祉に関する連携を強化するケアコーディネート機能がある。 3.保健師は在宅療養者だけをみるのではなく、地域全体を多面的に観察して、地域の非専門職や一般住民に潜在している在宅ケア支援の能力を見つけだすために、たえず接点を持って意識して問いかけ、地域にある公的・民間・ボランティア、さらに家族、友人・知人、近隣者や仲間等について、社会資源として再評価し、掘り起こしや開発を行い、在宅療養者及び家族を支援するケアコーディネート機能が求められる 4.地域全体で在宅ケアを支援できる様になるためには、住民一人一人が在宅療養に関する知識と技術が持てるように、機会あるごとに情報提供し、教育活動を行い、地域住民のエンパワーメントを活性化出来る保健師のケアコーディネート能力の開発が求められていると思う。
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