研究概要 |
【研究目的】術前,術後の全身シャワー浴時の生体負担について,エネルギー代謝量・血圧・心拍数・鼓膜温を指標に検討した. 【研究方法】呼吸器・循環器疾患を有しない婦人科領域の開腹術を受ける患者6名を対象に,術前のシャワー浴時(術前群)と,術後8日目以降の術後初回全身シャワー浴時(術後群)に測定した.測定ポイントは,安静仰臥位30分後,シャワー浴後病室のベッドに仰臥位を取った直後および20分後とした.シャワー浴は病棟の浴室を使用し洗髪は含まなかった.シャワー浴の方法は対象者の習慣に準じ,対象者が心地よいと感じるペースで実施した. 【結果・考察】代謝量の平均値推移は,両群ともに安静時から直後にかけて増加し20分後には減少した.術後群の安静時と直後,両群の直後と20分後の各平均値間に有意差が認められた(P<0.05〜0.001).収縮期血圧は,両群ともに安静時から直後にかけて上昇し20分後には低下した.このうち術前群の安静時と直後の平均値間に有意差が認められた(P<0.01).心拍数は両群ともに安静時から直後にかけて増加し20分後には減少した.このうち術前群の安静時と直後の平均値間に有意差が認められた(P<0.05).鼓膜温も両群ともに安静時から直後にかけて増加し20分後には減少した.このうち術後群の直後と20分後の平均値間に有意差が認められた(P<0.001).次に,各測定ポイント間の変化量を2群間で比較してみると,心拍数の安静時から直後にかけての増加数が術前群に比べ術後群で有意に少なかった(P<0.05)が,これは術後の運動量の減少に起因していると考えられ,他の測定項目においては2群間に有意差は認められなかった. 以上より,術前群と術後群は同じ平均値推移を示しており,心拍数以外の変化量には両群間に有意差が認められず,術前群と術後群のシャワー浴による負荷には差異の無いことが示唆された.
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