研究概要 |
【研究目的】前回,婦人科疾患患者を対象に術後全身シャワー浴が及ぼす生体負担について検討し報告したが,今回はそれらのコントロール群として健康人を対象に,全身シャワー浴が及ぼす生体負担について,エネルギー代謝量,血圧,心拍数,鼓膜温を指標に検討した. 【研究方法】健康な女性7名(平均年齢40.57±3.57歳)を対象に,実習室内の浴室を使用し実施した.シャワー浴の方法は,洗髪を実施しないことのみ統一し,対象者の習慣に準じ,心地よい状態で行うことを前提とした.測定ポイントは安静仰臥位30分後(安静時),シャワー浴直後および20分後とした. 【結果】1)エネルギー代謝量は,安静時に比べ直後は有意に増加したが(p<0.01),20分後は直後に比べ有意に減少した(p<0.001).2)収縮期血圧は,安静時に比べ直後で有意に上昇し(p<0.001),直後から20分後にかけては有意に下降した(p<0.05).拡張期血圧は安静時に比べ直後,20分後と除々に下降したが有意な変化ではなかった.3)心拍数および鼓膜温の平均値推移には有意な変化は示されなかった. 【考察】全身シャワー浴による生体負担について,エネルギー代謝量,収縮期血圧を指標に見た場合,浴直後には有意に上昇することが認められたが,20分後には安静時値に近づいており,その負荷は時間経過とともに減少することが示された.また今回の設定は被験者にとって快適な状態でのシャワー浴であり,心拍数,鼓膜温に有意な変化をもたらすほどの負荷とはならなかったことが認められた.今回の健常者の結果を,前回の患者群の術前に示した変化と比較してみると,術前患者群の収縮期血圧の安静時から直後にかけての変化量が,健常者群に比べ大きい傾向が示されたものの,その他の測定項目における平均値推移にも有意差は認められず,健常者群と術前患者群はほぼ同じような推移および変化量を示す2群であることが示唆された.
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