地域を単位とした看護活動の特徴を追求するために、長期的な活動経過によって成果を上げている活動事例について、保健婦の戦略的かかわりと、住民の主体性形成、住民の健康生活の変容との関連から、保健婦の活動プロセスの構造を明らかにすることを目指した。保健婦暦平均21.8年の保健婦8名による人口4千から3万未満の小中規模市町における活動から、活動展開とその成果について経時的構造を検討し、以下の知見を得た。 (1)保健婦としての活動の全体像で共通する特徴として、活動開始時に家庭訪問を中心とした活動によって「地区を知る」「人を知る」、行政組織の中で機能することを強く意識していた。 (2)活動を方向付けるきっかけには(1)住民の健康問題の把握、(2)それまでの活動に対する違和感(3)外部からの刺激などがあった。 (3)活動に関与する条件は、保健婦同職種によるサポート、上司・同僚のサポート、行政の方針、地理的条件に分類できた。 (4)活動に対する反応及び成果としては、住民の変化、職場内の変化、関係諸機関・職種との連携を抽出した。 これにより、(1)活動発展過程における特徴として、(1)人と人の関係の強化が糸口となること、(2)時代の要請と受け持ち地区の現状をコーディネートして重点課題を追求・対応すること、(3)住民との相互関係を蓄積すること、(2)保健婦活動の評価として課題意識と活動の意図の変遷を記述することが重要と示唆された。
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