研究課題/領域番号 |
10672215
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
平野 憲子 札幌医科大学, 保健医療学部, 講師 (50295367)
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研究分担者 |
和泉 比佐子 札幌医科大学, 保健医療学部, 助手 (60295368)
加藤 欣子 札幌医科大学, 保健医療学部, 講師
佐伯 和子 札幌医科大学, 保健医療学部, 助教授 (20264541)
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キーワード | 痴呆症老人 / 発症初期 / 配偶者 / 夫婦関係 / 疾病認識 / 在宅ケアサービス |
研究概要 |
平成11年度は事例分析およびまとめを行い、成果を学会に報告し報告集を作成した。 1.配偶者の初期対応 気づきから受診までの期間は痴呆性疾患の病型により違いが見られた。医療機関を受診し診断名の告知を受けた配偶者は強い「驚き」と「否定」の感情に陥ると同時に医学の未解明な現実に「苛立ち」を覚え、家族による「原因探し」や配偶者による「治療」が行われてきた。また、痴呆性性疾患を「周囲にはわかりにくい病気」、「子供や親族には知らせたくない、関わらせたくない病気」として捉え、子供や親族のサポートを得るよりは保健や福祉の外部サポートを比較的早期に受容し、利用することで初期の介護困難に対処していた。 2.痴呆性疾患に罹患した配偶者に対する認識 発症初期においてアルツハイマー型痴呆の配偶者に対する妻の認識を分析した。罹患した配偶者に対する妻の認識は「苦痛に感じられる存在としての認識」と「共に暮らし続けたい存在としての認識」が併存し、これらの認識の強弱が配偶者としての伴侶性と在宅生活の継続に影響を与えていた。 3.サービス利用に対する介護者の認識 発症早期からデイケア・デイサービス活用のニーズとサポートがあり、配偶者にとってデイケア・デイサービスは、介護負担軽減の効果のみならず、痴呆性疾患に罹患した配偶者の新たな肯定的側面を気づかせてくれる効果や、またプログラムや得られる情報から在宅生活における夫婦の関係性に潤滑油的材料を提供してくれる効果等をもたらしてくれるものとして認識していたことが明らかになった。 初期の痴呆性老人ケアにおける介護者のサポートニーズは、症状や問題行動への対応にのみ向けられているのではなく、介護者の「痴呆性疾患に対する認識」や「介護対象者に対する認識」有りようにも向けられており、介護者と痴呆性老人の関係性をとりまく様々な認識の理解が介護者においても重要なニーズであることが明らかになった。
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