平成11年度は10年度の調査結果をもとに、健康な高齢者と在宅療養者の睡眠時間を中心とする調査を行った。 対象者は家族と同居し一戸建て住宅に居住している65歳以上の男女で、(1)睡眠障害の訴えがない健康な高齢者6名と、(2)生活自立度ランクAまたはBの在宅療養者7名の、計13名からデータを収集した。 客観的データとして、(a)アクチグラムを用いた活動量の計測から睡眠時間の把握を行った。主観的データとして、(b)生活習慣調査と(c)睡眠日誌から主観的睡眠時間や毎日の過ごし方を把握した。また、対象者の居住環境を把握するため、(d)居住の間取り図を入手した。 健康な高齢者は概ね正常な睡眠覚醒リズムで生活しており、毎日7〜9時間の睡眠時間をとっていた。彼らの多くは日中趣味的な活動をしており、高齢であっても健康的な過ごし方をしていた。 一方、在宅療養者の場合は健康な高齢者に比べて日中の活動量が少なく、睡眠と覚醒のメリハリが乏しい状況にあった。中にはベッドに臥床しがちな環境にあるため、日中は睡眠に近い活動状況にあり、夜間は十分な睡眠をとれていない療養者も見られた。 データ収集が予定より遅くなったこともあり、詳細な解析はこれからであるが、客観的データと主観的データの照合、健康な高齢者と在宅療養者の比較を通し、在宅療養者の居住環境と睡眠状態との関連を探っていきたい。
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