研究課題/領域番号 |
10672228
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研究機関 | 東京都立保健科学大学 |
研究代表者 |
志自岐 康子 東京都立保健科学大学, 保健科学部・看護学科, 教授 (60259140)
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研究分担者 |
武 未希子 東京都立保健科学大学, 保健科学部, 助手 (00289969)
金 壽子 東京都立保健科学大学, 保健科学部, 助手 (60279776)
城生 弘美 東京都立保健科学大学, 保健科学部, 講師 (60247301)
恵美須 文枝 東京都立保健科学大学, 保健科学部, 教授 (40185145)
川村 佐和子 東京都立保健科学大学, 保健科学部, 教授 (30186142)
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キーワード | 抑制 / 看護実践 / 看護管理者 / 抑制廃止 / 面接調査 / 看護婦 |
研究概要 |
今年度は、看護における抑制の実態を明らかにし、抑制を行わない看護実践を可能にしている要因を探ることが主要な目的である。方法は、まず抑制に関する実状を国内外の文献から探った。国内文献は1973年がら1997年までをCD-ROMおよび数種の二次資料を用いて、国外文献は1982がら1998までをCINAHLを用いて検索した。次に、文献検討を基に看護者への面接マニュアルを作成し、これを用いて、抑制を行っていない4施設(老人病院)に勤務する看護職15名(看護部長、総婦長、婦長、看護婦)を対象として半構成的面接を行った。その内容を、「その施設で抑制廃止を最初に言及した人」、「抑制使用型から非抑制使用型看護への移行を可能にした要因」、「抑制を廃止による変化」、「抑制をしない看護を維持している要因」という点から質的に分析した。 「抑制」または「固定」に関する国内の文献は1988年前後から急増していた。398件を分析した結果、その多くは、臨床の看護婦による用具の開発や用具の改善に関する論述であった。 国外の文献では、抑制に関する研究論文が数多くみられ、「抑制廃止のための教育」の評価研究などもあった。 面接調査を行った4つの施設で抑制廃止の試みが始まったのは、4〜13年前であった。抑制廃止を最初に言及した人は、看護職(婦長、主任)、または理事(医師)や院長であった。看護職であった場合、理事や院長である医師の賛同・協力が存在していた。抑制廃止後の変化として、褥創発生の減少、不穏状態の減少などがあげられ、転倒事故の顕著な増加はなかった。抑制の不使用を維持するためには、看護管理者の「抑制は絶対にしない」という強い理念とそれを実践へ導くリーダーシップが存在していた。 次年度は、さらに拡大した抑制廃止の医療の現場を調査し(聞き取り調査、参加観察)、「抑制を行わない看護実践」を可能にする要因を明らかにし、非抑制使用型看護実践モデルを作成する。
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