研究概要 |
要介護高齢者は水分代謝異常が多発する.そこで本研究では,脱水予防のための飲水援助の基礎的な資料を得ることを目的に,在宅および特別養護老人ホームで生活する活動レベルの低い要介護高齢者を対象に,水分代謝の状況・飲水行動の実態調査を行い,検討するものである.研究期間は2年である.計画では,まず初年度(平成10年)は,在宅および特別養護老人ホームで生活する高齢者に対して夏期に水分代謝や飲水行動の調査を実施し,その実態を把握する.次年度(平成11年)は初年度の結果に基づき,それぞれの生活の場で高齢者の水代謝に影響を及ぼす因子を抽出し,脱水予防のための具体的な飲水援助の方法を検討する,となっている. 初年度(平成10年度)の研究計画はほぼ予定通り実施することができ,在宅要介護高齢者では10名,ホームで生活する要介護高齢者5名の水分代謝や飲水行動の実態を把握することができた.総水分摂取量の中で,「食事による水分摂取」は必要な食事摂取がほぼできている限りにおいて個人差はあまりみられなかった力が,「飲水による摂取」ではかなり個人差が見られた.このことから,自ら飲水することができない対象者に対して,介護者のその日々の対象者の状況をいかに把握して,積極的で計画的な飲水援助を行っているかどうかが影響しているのではないかと推測された.また,自分の意志で飲水が可能な対象者でもかなりばらつきがみられ介護者のサポートが必要ではないかと考えられた.
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