研究概要 |
本年度は,家族会のメンバーの2人に2回に分けて十分な時間をとって聞き取りを行った。子どもが思春期から青年期にかけて発病していく家庭をテープにとって,記録にし内容を確認してもらった。それからテープの内容に沿って家族の子供の障害受容のプロセスや現状を把握するためにどのような内容を調べればいいか検討した。対象の話を時間的経過でみると,発病して数年間は,訳の分からない混乱期がである。病院に行って一応精神病と診断されても理解が少ない状況が続く。家庭状況は混乱を極め,夫婦間での葛藤が激しくなる。多くの場合母親に負担がかかるようである。その後家族会を結成して患者の家族同士の関係を作っていく活動にはいることで,障害者のいることを受容して積極的に社会に働きかけていく過程を歩む。その家庭の仲で夫婦の関係も徐々に改善し,夫も次第に妻の活動に理解を示すようになる。 聞き取りをしていく家庭で,いくつかの分岐点があるように感じられた。それを現象的とらえると,夫婦関係の推移,家族会活動への参加,近所つきあい,子供の病気を精神病として認めるか,子供とどのように距離をとって親子関係を作るのか,子供の将来にどの程度回復を期待するか,服薬の自己管理がどのくらいできているか,病状の安定度などがあげられた。このようなことを調べることでその家族の障害受容のプロセスや現状の段階が浮き彫りになると考えられた。11年度はもう少し聞き取りを増やし,後半から調査票の作成にとりかかろうと思う。
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