群馬県内のCCUをもつ2つの病院に入院中の初発心筋梗塞患者で、研究参加の承諾の得られた10名を対象として、半構成的面接と参加観察、診療記録・看護記録からの基礎的データ収集により調査を開始した。 面接は入院中で退院が決定した時期を第1回とし、退院して1か月後を第2回、以後3か月ごとに退院後1年までの計6回実施した。面接内容は逐語記録を作成し、研究分担者のスーパービジョンを受けながら進行、分析を行った。あわせて高齢者社会活動能力指標により、退院後の社会活動状況の変化を測定した。その結果、急性心筋梗塞で退院後1年間の生活の適応とその変化として以下のことが明らかになった。 1.患者の退院時の生活の見通しの持ち方には、発病前の趣味、地域・社会活動状況が関連していた。 2.退院後の生活では、家庭内での日常生活の活動レベルは、発症前と比べ大きな変化はなかった。家庭外での社会的活動レベルについては、退院後3か月間は発症前に比べ大きく縮小し、6か月後以降徐々に拡大する傾向がみられたが、退院後1年経過しても発症前のレベルに回復したものはなかった。 3.患者の生活が安定するには退院後およそ1年を要し、春夏秋冬の気候の変化に応じた生活の仕方を試みようとしていた。特に、冬季の寒冷気候、夏季の高温多湿気候に対して、生活上の工夫や活動の縮小をはかっていた。
|