1.データ収集について 本年度は前年度までの16名に引き続き、妊娠期から研究協力が得られた5名について、以下のような調査項目を産後4、8、12ケ月の時点で、郵送法にてデータ収集を行なった。 (1)花沢の対児感情尺度、(2)文章完成法にて母親としてのアイデンティティについて、(3)母子の生活や健康状態についての基礎的な情報 2.データ分析について 1)妊娠期の対象者が21名、そのうち17名が産褥早期の対象者となり、量的なデータの統計的分析を再度行い、自然妊娠の母親と比較し検討した。 2)妊娠期の対象者21名の逐語録を基にして、対児感情尺度の回答、母性不安尺度の回答を補足データとして、個々の対象者の母親役割獲得プロセスを質的に分析した。 3)産後の母親役割獲得プロセスについては、産後12ケ月まで胎児感情得点の推移をケースごとに分析し、それを踏まえ、文章完成法・家庭訪問による半構成的面接で得られたデータを個別に帰納的に分析している。 4)今後、個別分析結果に基づいて、妊娠期・産後に分けて不妊治療によって妊娠した女性の母親役割獲得プロセスの特徴を全体分析により明らかにする。 さらに、以上の分析結果について文献により考察を加え、不妊治療によって妊娠した女性における母親役割獲得プロセスを促進するための看護の方向性を考察する予定である。
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