1)不妊治療によって妊娠した女性では、自然妊娠の女性に比べて容姿の変化や児の性別についての不安は有意に低く、児の五体満足についての不安は有意に高かった。 2)不妊治療によって妊娠した女性において、妊娠中期・妊娠末期・産褥早期・産後1ヶ月の接近感情平均得点は自然妊娠の女性と同様に推移した。 3)不妊治療を受けて妊娠した女性(21名)における不妊・治療の経験には、【夫婦で話し合い選択した不妊治療による妊娠に気長に挑戦する経験】等9の肯定的な体験と、【妊婦に関する情報、妊婦・子どもを回避する経験】等の4つの前向きな受けとめではない経験である。 4)【排卵誘発・促進剤を用いた自然生殖による妊娠に挑戦し期待がもてた経験】をもった2名は、自然生殖による妊娠と受けとめ、母親役割獲得プロセスへの影響は認められなかった。 5)上記の経験以外の肯定的な不妊・治療の経験は、妊娠期の母親役割獲得過程に肯定的・否定的影響を及ぼしていたが、それは産後への影響は認められなかった。 6)不妊治療によって妊娠した女性は人工生殖によって妊娠できたと受けとめると、不妊・治療の経験は妊娠期における母親役割獲得プロセスに影響を及ぼし、胎児の生存への不安が強く胎動初覚が早く、流産・早産予防などの母性行動が行われる。 7)不妊・治療の経験は妊娠期における母親役割獲得プロセスに影響を及ぼし、それが自分なりの「母親としての自己像」の形成に否定的な影響を与えると、産後の母親役割獲得プロセスにも否定的な影響を与える。
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