研究課題/領域番号 |
10672239
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
加藤 久美子 岡山大学, 医学部, 教授 (30134068)
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研究分担者 |
林 優子 岡山大学, 医学部, 教授 (50284120)
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キーワード | 腎移植 / 自己決定のプロセス / 看護援助 / 看護面接 / 意思決定 / 身体的・心理的・社会的準備 / 気づきと人間的成長 / 移植後の生活の自己管理 |
研究概要 |
腎移植者の自己決定のプロセスとその自己決定を支えるための要因を看護面接をして検討した。 面接対象者は1998年7月に生体腎移植を受けたA氏、1998年1月生体腎移植を受けたB氏1995年死体腎移植を受けたC氏である。A氏は移植後感染症のため面接後の1ヵ月後1999年3月死亡、B氏、C氏は医学的管理を受けながら社会復帰をし、移植医療に関する社会的活動にも参加している。25歳のB氏が腎移植を受ける自己決定のプロセスとその自己決定を支えた要因について述べる。 B氏は腎臓が萎縮し1年間治療したが腎不全をきたした。両親や親戚がドナーになることを申し出て、透析療法も移植の身体的な準備として受けた。本人と家族は身体的により健康体になるように生活を管理し、腎移植に関する情報をPositiveに考え、移植後の心理についても学習し、安定した心理で移植に立ち向かえるように準備した。社会的には移植施設の決定、移植後の生活場所の確保、段階的な社会復帰について本人と家族は話し合い準備をしていた。B氏の腎移植を受ける自己決定のプロセスにかかわった要因はB氏の移植を受ける意欲と自分が欲しい情報を医師から得ていたこと、家族のドナーになろうとする意思、家族とB氏の身体的、心理的、社会的準備をあげることができる。 更に、B氏の腎移植を受ける自己決定を支え、移植後の生活を自律的に過ごしている要因にB氏の自己の気づきによる人格の変容、つまり人間的な成長体験があったことが看護面接で明らかになった。C氏にもこの自己の気づきと成長体験があったことから、移植前の人間的な成長を援助する看護面接を移植を受ける前に看護として実施する必要があることが明らかになった。
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