研究課題/領域番号 |
10672242
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
寺尾 紀子 徳島大学, 医療技術短期大学部, 教授 (90217414)
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研究分担者 |
吉永 純子 徳島大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (30227425)
安岡 劭 徳島大学, 医療技術短期大学部, 教授 (30035414)
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キーワード | 新生児気道吸引液 / 新生児呼吸窮迫症候群 / SP-A / S-IgA / 早産 |
研究概要 |
新生児や妊産婦の感染防御の有効な予防法や看護を開発していくための基礎的研究として、1)新生児の気道-肺胞系の疾患の病態の解析や臨床診断、2)新生児と母体の生体防御機構の差異の解明のために、新生児側からは分娩直後に採取されている吸引羊水(以下、新生児気道吸引液という)と、母体側からは産後の初乳、の二つの検体を生化学的、免疫学的に分析した。その結果、正常新生児の気道吸引液には気道・肺胞成分の両者を含んでいるが、その組成はより気道成分に近いことが示唆された。また、新生児の健康状態とSP-Aレベルとの関係をみるために、19例の正常新生児(I群)と14例の早産(II群)児、3例の呼吸急迫症候群(III群)児を対象に肺サーファクタント(SP-A)をELLSAで測定し判定した。NAA中のSP-Aレベルを濃度、在胎週数との関係、総タンパクに対する比率で比較した。II群のSP-Aレベルの平均値は上記のいずれの方法もI群のそれより有意に低値であった。SP-A濃度のレベルはI群の検体間でかなりのバラツキがあり、I群の低い値を示す検体とII群の検体間で重なりがみられた。III群のRDS症例の平均値はさらに低かった。これらの成績はNAAの分析が新生児の呼吸不全の病態の解析に有用であることは示唆されたがNAAの新生児の呼吸不全の臨床診断における有用性はさらに検討を要する課題である。一方、気道局所から分泌される分泌型IgAは、成人の気管支肺胞洗浄液成分と気管支洗浄液に比して、わずかであるが新生児気道吸引液に含まれていることが示唆された。初乳の分泌型IgA、リソチームなどは経日的変化を示し、新生児は出生時から感染防御物質は未発達であるが、感染防御機構を備えていると考えられる。今後、新生児時期の呼吸器の感染防御機構の発達の程度と母子間の感染防御機構の関連性を明らかにしてゆきたい。
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