研究概要 |
心理・社会的問題を背景に持つ小児心身症の援助には,多大な時間と労力が必要であり予防が急務である。予防のための効果的な介入に向けて,今研究では(1)摂食障害患児や家族の援助過程で学んだことを集団指導に生かすこと,(2)思春期を対象に身体的変化(特にボディイメージ)の認知のありかたが,摂食態度にどのような影響を及ぼしているかについて検討することである。平成2年から同8年までに小児期に発症し神経性食欲不振症と診断され援助を行った症例について,援助過程で表現された悩みや心理的問題について分析しているが,患児のほとんどが愛情欠乏状態(愛情があっても受け取る側に問題がある場合もある)にあり常に他者を過剰に意識し,周囲が自分を理解してくれないと感じており,誤った認知による食事や体型へのとらわれ,自発的な問題解決手段を身につけることが困難な状況が表現されている。初診時に実施した心理検査(自我状態,親子関係,P-Fスタディ等)から他者との関係性やストレスへの対処の仕方,対人関係における基本的構え等について分析中である。また,母親面接により出生から発症にいたるまでの環境,他者との関係性,自己主張などの表現性,発症要因と思われるものやそのきっかけについて聴取し分析中である。 健康な中学生を対象に,ボディイメージと摂食態度についてのアンケート調査を行った。女子中学生では,自己の体重に対する認知やボディイメージの評価によって,摂食障害的な行動へ連なる可能性が示唆された。詳細について現在分析中である。
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