研究課題/領域番号 |
10672251
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研究機関 | 兵庫県立看護大学 |
研究代表者 |
水谷 信子 兵庫県立看護大学, 看護学部, 教授 (20167662)
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研究分担者 |
井藤 由香里 兵庫県立看護大学, 看護学部, 助手 (90295759)
山地 佳代 兵庫県立看護大学, 看護学部, 助手 (80285345)
竹崎 久美子 兵庫県立看護大学, 看護学部, 講師 (60197283)
多田 祐美 兵庫県立看護大学, 看護学部, 助手 (20316053)
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キーワード | 痴呆性老人 / 看護援助 / QOL(Quality of Life) / 効果測定 / 尺度開発 / ケア技術 / ケアの質 / 施設内看護 |
研究概要 |
昨年の調査で明らかとなった、「ケア効果としての痴呆性高齢者の変化」5群について検討を深めるために、最近の研究動向を探った。以前の文献検討時は「痴呆性老人のQOL」を扱った研究は殆ど見られなかったが、1999年に入りMeryl BrodらによるThe Dementia Quality of Life Instrument(DQoL)の研究や、Peter V.RabinsらによるAlzheimer's Disease-Related Quality of Life(AD-HRQoL)の研究などが進められていた。文献では痴呆の患者といえども本人の主観を手がかりとしうること。失われた機能がどこまで回復されたかという観点よりは、患者自身の自己認識や楽しみの感覚がQOLの大切な要素となりうることなどが明らかとなった。5群の中にも「自発性の発現」「対人関係・社会性の広がり」という群が見られたが、これらの群は調査対象とした臨床の看護職達が、ケアの結果として患者の中から生まれ出る自発性や関係の広がり具合をケア効果の手がかりとしていることを表しており、痴呆性老人のQOLを考える上では重要な要素になることが示唆された。 これらを踏まえてケア結果を評価する指標となるよう55項目をさらに洗練するために、痴呆専門施設でケアに携わっている看護熟練者8名にインタビューを行い、実在の事例には答え辛い項目や文章表現の不備などについて、あるいはそれらの変化がどの程度の期間をおけば確認できるかなどについて意見を聞いた。また個々の項目間での相関をみた結果、類似した内容を問うていると思われる項目や、群の異なる項目と多数相関している項目などが明らかとなった。以上の結果を、痴呆性老人を専門に実践・検討会を行っているグループに提示し、そこでの意見を参考にしながら、最終24項目からなる「ケア結果質問紙」を作成した。 現在、上記「結果質問紙」と先行研究で明らかになった「ケア過程に関する質問紙(10項目)」を合わせて調査を実施している。今後はその結果を踏まえ、具体のケア技術と、それが効果的に実施されているかを評価できる結果測定スケールを開発予定である。
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