資料の収集については、ワシントンの米国立公文書館で日本とドイツの間で行われた技術関係の電報に関する記述や、目本に向かう途中でドイツ降伏により連合軍に投降したドイツ潜水艦(U234)の調査記録等を収集した。 史料調査会が所有していた旧日本海軍技術研究所電気研究部の資料については、目録を整理し、マイクロフィルム化することができた。 この研究では、研究代表者を中心として研究グループを非公式に組んだが、旧海軍の核研究に関しては清水栄京都大学名誉教授がお持ちだった荒勝文策研究室の資料について分析が、研究グループ内で進んだ。また、旧海軍技術研究所でのレーダー研究についても、研究グループ内で、はじめて本格的な分析が行われた。 この間の研究でもっとも前進したのは、同時期に旧陸軍で行われた核関係の理論的研究のに関するものである。これは当研究課題とは一応離れるが、核問題に関しては当時の一般的な状況の中では例外的に、海軍の研究は陸軍との交流の下で行われたため、海軍の研究とも関連がある。とくに黒田和夫ネバダ大学名誉教授がお持ちの東京陸軍第二造兵廠の資料を分析した結果、陸軍では理化学研究所での理論研究を元にして、原子炉の暴走に相当する遅い中性子反応に関して広島原爆クラスの爆発力を予想していた事実が確認され、その理論的な再現が行われた。この研究結果は論文にまとめられている。
|