今年度は、およそ「平成11年度科学研究費補助金の交付申請書」通りに、漢文で書かれた算額の問題文や術文を解釈して、さらにその現代的な解法及び和算家の解法を探り解明した。 ただし、昨年度研究実績報告書にも書いたように、「鉤股中等円術」の論文を発表する予定であったが、この課題は予想外に大変な問題であったので、今年度はその中の一部分だけを取りあげることにした。 この科学研究費補助金による調査出張で、仙台・水沢、京阪神方面の寺社の算額を中心に調査し、その成果の一部を、「反転法つづき」、「鉤股中三円図」として発表した。 今後さらに、「生石子神社」、「鉤股中等円術」などとして順次発表していく予定である。 また、この補助金の設備備品費によって幾冊かの和算研究書を購入し、昨年度に導入した光磁気ディスク(MO)に、和算の情報をパソコンに取り込む作業を行なっている。 論文としては、「算額(その5)--反転法つづき--」、「算額(その6)--鉤股中三円図--」を東洋大学紀要教養課程篇(自然科学)第44号に投稿し掲載予定である。 さらに、研究課題の後半「・・・その科学教育への活用について」は、算額の啓蒙と科学教育に資するために、兵庫県 高砂神社(予定)への算額奉納を準備中である。
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