研究課題/領域番号 |
10680024
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
吉村 篤司 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (70159234)
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研究分担者 |
村上 太郎 名古屋工業大学, 工学部, 助手 (10252305)
藤墳 規明 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (60101268)
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キーワード | downhill running / グリコーゲン / 筋線維型 / ヒラメ筋 / 長指伸筋 / 前肢筋群 |
研究概要 |
目的:先に我々は、強度の高いコンセントリックな運動モデル(uphill running)では、筋紡錘のII型核袋線維(bag2)が主に筋の出力調節に使われることを、ラットのヒラメ筋及び長指伸筋を用いて報告した。本研究では、エキセントリックな運動のモデルである坂下りのトレッドミル走(downhill running)をラットへに負荷した時の筋の動員様式(骨格筋線維型の使われ方)とその出力調節(筋紡錘の錘内筋線維型の使われ方)について、筋の主要なエネルギーであるグリコーゲンの減少量から検討することである。 平成10年度の研究:本年度は、エキセントリックな運動のモデルであるdownhill running特徴を、グリコーゲンの生化学的測定及び組織化学的手法に基づいたグリコーゲン減少量から、骨格筋の種類による相違および動員される筋線維型ついて明かにすることである。 方法:8週齢ウィスタ一系雄ラット12匹を、強度の高いdownhill running(分速40mX4分間、傾斜角ー6度)に慣れさせるために4週間の予備的トレーニングを課した。実験当日、運動群(6匹)には前述したdownhill runningを課し、残りの6匹はコントロールとして用いた。運動直後、後肢であるヒラメ筋、長指伸筋および前肢の前腕屈筋、伸筋群を取り出し、左側両筋は生化学的なグリコーゲン定量に、右側同名筋は組織化学的手法(PAS及びミオシンATPase染色)に基づいたグリコーゲン定量に用いた。また、コントロール筋も同様の処理をした。 結果:グリコーゲンの生化学的測定から、本研究で用いたdownhill runningでは、コントロール群と比べると、後肢筋であるヒラメ筋、長指伸筋および前肢筋の前腕屈筋、伸筋群のグリコーゲン量を有意に減少させる運動で、且つ後肢筋に比べて前肢筋のグリコーゲン減少量が大きい運動であった。先に我々が報告したuphill runningの研究では、後肢の伸筋である長指伸筋のグリコーゲン減少が観察されなかったことから、uphill runningに比べてdownhill runningでは伸筋群も動員されることが示された。また、組織化学的手法で調べられた各線維型の動員様式は、後肢筋では中間型線維のグリコーゲンが最大減少量を示した。一方、前肢筋の屈筋では、遅筋型、中間型、速筋型ともほぼ同量のグリコーゲンが減少し、伸筋では速筋型が最大減少量を示した。 結論:uphill runningと比較すると、downhill runningでは特に伸筋である長指伸筋も動員されることが示された。また、動員される線維型は筋の種類によって異なることが明らかになった。
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