本年度は昨年度に引き続き、「関わり」そのものについての知識を集約しながら、体育・保健体育の授業における教師の「関わり意識」そのものへの「関心」、「関わり意識」についての知的理解、「関わり意識」に基づいた行動についての本調査を実施した。また、当初予定にはなかったが、多様な関わり意識を考察していく一つのモデルとして嘉納治五郎の柔道についての考え方が、有効ではないかということで、本年度はその基礎的知識を深めた。 昨年12月、文部省から新学習指導要領が公示され、教科体育の目標に「心と体を一体としてとらえ」という文言がつけ加えられた。この考え方は、「関わり学習」の具体的展開の糸口として、非常に好都合であると思われる。このことを意識しながら、教科体育の学習内容(表学習)、学習過程での対人関係能力(裏学習)の相互関連を意識した学習指導について、教科間、学習内容間、教育課程要素間、学校・家庭・地域、上下・左右、過去・現在・未来など多様な関わりを意識し、知識化し、具体的に行動に移していく可能性について整理を進めてきた。 本年度はその実験授業として、「X人X+1脚」「A地点からB地点への移動」「グループ作品(縄跳び、鉄棒、マット運動など)作り」などを行い、学生の反応を集約した。次年度(最終年度)は、小学校、中学校でもそれらを実験的に実施してもらい、データを収集し集約を図り、研究の総括を行う。
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