研究概要 |
1. 目的 長期間高脂肪食を摂取した場合,持久的運動能力や骨格筋の糖質・脂質代謝にどのような影響を及ぼすかについて検討した. 2. 方法 実験動物として5週令のWistar系の雄ラットを用い,脂肪カロリー比が40%もしくは60%の高脂肪食を摂取する群と脂肪カロリー比が約12%の普通食を摂取する群の3群に分けた.5週間後,pent obar bit al sodium(5mg/100g体重)麻酔下,上腕三頭筋を摘出するとともに,腹部大動脈より採血した. 3. 結果及び考察 体重は3群間に差はみられなかったが,副畢丸脂肪組織重量は高脂肪食群で有意な増加を示した.血中脂質は高脂肪食群で有意に高い値を示した.血漿レプチン濃度は副畢丸脂肪組織重量と有意な正の相関が見られた. 上腕三頭筋のグリコーゲン含量は普通食群に比較し,40%及び60%高脂肪食群で有意な低下が認めれらたが,5%の重りをつけた水泳運動は普通食群の平均45分に対し,60%高脂肪食群では109分と持久的運動能力の増大が見られた.測定した骨格筋の酵素活性はいずれも高脂肪食摂取により増加した. 以上の結果から,高脂肪食を摂取したラットでは骨格筋グリコーゲン含量を低下するが,酸化系酵素活性,特に脂質代謝に関与する酵素活性の増大により,運動時における脂質利用が亢進し,筋グリコーゲンを節約することにより持久力が増大したものと考えられる.
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