研究概要 |
【目的】本研究では異なった脂肪酸を含む高脂肪食を摂取した場合の脂肪組織,血中脂質,骨格筋酸化系酸素活性に及ぼす影響について検討した。 【方法】実験動物としてWistar系の雄ラットを用いた.これを普通食群,動物性高脂肪食群,植物性高脂肪食群及び魚油系高脂肪食群の4群に分け,さらにそれぞれに非トレーニング群とトレーニング群を設け,計8群とした.トレーニングとして水泳運動を負荷し,週5日の頻度で約5週間行わせた.トレーニング終了後,pentobarbital sodium麻酔下,上腕二頭筋及び副睾丸脂肪組織を摘出した.採血は腹部大動脈より行った. 【結果及び考察】普通食群と高脂肪食群の間に体重の差は認められなかった.副睾丸脂肪組織重量は普通食群に対し動物性及び植物性高脂肪食群で有意な増加が認められたが,魚油系高脂肪食群では差が見られなかった.それぞれの食餌群においてトレーニングによる低下が見られた.脂肪組織のノルエピネフリンに対する脂肪分解能は動物性及び植物性高脂肪食摂取により低下が認められた.血中中性脂肪及び遊離脂肪酸濃度は動物性高脂肪食摂取により増大が見られたが,植物性及び魚油系高脂肪食群ではむしろ低下が認めれら,特に魚油系高脂肪食群ではその低下は著しく大きかった.TCA回路のクエン酸合成酵素活性は植物性及び魚油系高脂肪食群で増加する傾向が見られ,トレーニングにより有意な増加となった.また,脂質酸化に関与する3-HydroxyAcyICoA Dehydrogenase活性は魚油系高脂肪食摂取で有意に増加し,さらにトレーニングを負荷することにより著しい増加が認められた. 以上の結果より,動物性や植物性高脂肪食に対し,魚油系高脂肪食は,脂肪組織及び血中脂質に好影響をもたらすとともに,酸化系酵素活性を増加することから,持久的運動能力を増大するものと考えられる.
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