本研究の目的は、第一義的には、「日本文化とスポーツの関係性」を明らかにすることである。その際、スポーツの構成要素とスポーツの制度的・構造的側面に着目し、それぞれの項目に関わる日本文化のスポーツに対する影響や規定性を考察することにした。スポーツの構成要素として「身体性」、「遊戯性」、「競争性」を取り上げ、制度的・構造的側面として「スポーツ規範」、「スポーツ組織」、「スポーツ観」、「スポーツ行動様式」を取り上げた。そして、スポーツにおける日本的特徴や日本文化の規定性が具体的なスポーツ場面やスポーツ行動様式およびスポーツ観にどのように反映しているのかを実証的に明らかにしようとした。その結果、現在までのところで得られている主な知見は次の通りである。 1.「身体性」、「遊戯性」、「競争性」のそれぞれの項目については、「競技型」と「レクリエーション型」の間では有為な差がみられるが(p<0.01)、「中間型」と「レクリエーション型」の間では「身体性」に差がみられるだけであった(p<0.05)。 2.「スポーツ規範」については、「競技型」の同調度が高く、「中間型」と「レクリエーション型」では、余り厳格でない緩やかな「規範」を望む傾向が強い(p<0.05)。 3.スポーツ行動様式については、「競技型」は、形や技術に固執する傾向がみられ、「中間型」と「レクリエーション型」では自分に合ったスタイルを望む傾向が強い(p<0.05)。
|