被験者が長座位姿勢で、足関節角度を20度に保ち、10%MVCの足関節底屈等尺性張力の持続発揮を行い、その際の下腿三頭筋群の活動電位を記録している。内側腓腹筋、外側腓腹筋およびヒラメ筋より双極性表面電極による筋電図を記録し、その両表面電極の中間位置から、同時にコイル状の筋内埋入電極により運動単位の活動電位の記録を行い、下腿三頭筋の全筋レベルの活動交代が発現する際の運動単位の制御様式に検索を加えている。 張力発揮の初期には、内側腓腹筋およびヒラメ筋の活動が顕著であり、時間経過に伴って徐々に内側腓腹筋の活動が低下する傾向が見られる。ヒラメ筋の活動は、それを補うように活動が増大する傾向を示す。10分以上時間が経過すると、足部に次第に痺れ感が生じて来るようになる。この頃になると、外側腓腹筋の活動が見られはじめ、内側腓腹筋あるいはヒラメ筋の活動が不規則に生じて、全筋レベルの活動交代が発現してくる。更に、時間が経過すると、足部の痺れ感は極致に達し、内側腓腹筋、外側腓腹筋およびヒラメ筋の活動は徐々に低下を来たし、極めて小さい活動になることも観察される。その時点でも、目標の10%MVCの張力はかろうじて維持することが出来る。更に時間が経過すると、ヒラメ筋、内側腓腹筋および外側腓腹筋の活動は増大を来たし、互いに増減を繰り返す。その間におけるコイル状の筋内埋入電極による各運動単位の活動は、概ね表面電極による筋電図の活動様相と相応した振る舞いを見せる傾向にある。しかし、深部に存在する運動単位は、表面電極による筋電図が極めて小さく低下した時点でも、活動を停止せず活動を持続している可能性も考えられる。この点について、更に詳細な実験を行い、全筋レベルの活動交代が発現する際の運動単位の制御様式に検索を加える。
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