研究概要 |
本研究では,平成8年1月に茨城県阿見町に居住している65歳以上の高齢者全員を対象に実施した高齢者健康調査のデーダを活用し,さらに研究発展させるため,3つの大きな目標を設けている。本年度は,そのうちの最初の目標として,以前作成した健康指標の信頼性・妥当性を検討することをねらった。 そこで,今回,新たに阿見町の1つの地区に居住している65歳以上の高齢者を対象に体力測定を実施し,客観的なデータを収集した。そして,すでに蓄積されているデータとリンケージさせることにより,総合的なデータ解析を進めた。まず,蓄積されているデータの中から,体力測定参加者と居住地区,年齢,および性別でマッチングさせたコントロール群のデータを無作為に抽出し,マッチドペアのデータセットを作成した。データ解析の結果,今回の体力測定参加者の特徴として,自治体が実施している他の様々な行事や催しに積極的に参加し,健康・体力づくりに対する関心が高く,また日常生活の中で高い頻度で運動を実践している状況が明らかになった。しかしながら,体力測定参加者数が限られていたため,体力測定に参加した者と参加していない者との健康度には統計学的に有意な差は認められなかった。ただし,両群間の健康度の差は無視できるほど小さくはなく,また平均スコアの95%信頼区間がかなり広く設定されていたことから,もう少しサンプル数を増やすことにより両群間の健康度の差は顕著に示されうることが予測された。 そのため,現在さらにサンプル数を増やす努力を継続しており,その結果を待って,改めて健康指標の信頼性・妥当性の検討を行うことにした。
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