研究概要 |
本研究では,平成8年1月に茨城県阿見町に居住している65歳以上の高齢者是認を対象に実施した高齢者健康調査のデータをベースラインとし,さらに研究を発展させるため,体力測定のデータとリンクさせ,信頼性・妥当性の検討を行った。そして,さらに追跡調査を実施し,65歳以上の高齢者6427名から無作為に2906名の対象者を抽出し(抽出率:45.2%),平成12年5月に健康調査を実施した。調査票は,訓練された調査員(阿見町食生活改善推進員)が調査対象者の家庭を訪問し,調査の趣旨を説明した上で調査票を配布し,約1週間後に再度訪問して回収した(訪問留置法)。なお,地域特性を考慮し,一部の地区対象者には返信用封筒尾を渡し,郵送により回収した。その結果,2010名から回答が得られた(有効回答率:69.2%)。データ解析の結果,4年前の調査時点で望ましい生活習慣を実践していた者では,そうでなかった者と比べて現在の健康状態に有意な差が認められた。今回の調査では,さらに生活満足度と健康状態の関連を探ったが,生活満足度が高い者ではZungの自己評価抑うつ尺度(SDS)が低く,生活満足度と精神的健康が密接に関連していることが示された。さらに,共分散構造分析を用いて,精神的健康度に対する諸要因の影響を検討したところ,ソーシャルサポートの状態,家族関係の満足度,および家庭内においての役割の有無といった要因の影響が極めて強いことが明らかになった。
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