【目的】消費カロリーは運動処方における最も基本的な基準であり、また健康づくりにおける最大関心事でもある。より簡便で正確な推定式が考案されれば健常者、有疾患者を問わずより効果的な運動処方に貢献できると考える。【対象および方法】本研究に先立って実施したコントロール群として健常者を、今回対象群として運動療法に参加する心疾患患者延べ265名(68.0±1.7歳)に22コースのウォーキングを実施した。それぞれのコースについて被験者にはハートレートマスター(Polar erectro社製)、Cardio memory(日本光電社製)および万歩計(YAMASA-EM230)を用い、歩行中の心拍数:HR)、消費カロリー、歩数および一部にはK2(Cosmed社製)による酸素摂取量の測定を行った。全コースとも条件(歩行速度)を変えて2回以上実施した。【結果】健常者群(N群)および患者群(P群)とも平均年齢64歳以上の高齢者が対象であった。両群の比較において有意な差が認められたのはHR、歩数およびACSM方式によるCalであり、それぞれ(p<.0001、p<.05、p<.01)であった。HR、歩数はN群が高く、CalはP群が高い値を示した。歩行速度は全体平均でN群(49.9/min〜57.7/min)、P群(51.6/min〜58.8/min)。速度差による比較ではN群はHR、P群は歩数とcardio測定のCalで差が認められなかったが、他ではいずれも有意差が認められた。各コースの消費カロリーは両群とも歩行時間および歩数と有意に高い有意差が認められた。考察:今回の結果から、運動療法を継続しているP群で特にN群との差がないこと、および普段の環境では一定速度での歩行が難しいことから速度より、時間量あるいは歩数による処方が適切と考えられた。両群とも個々の体重差にもよるが、概ね30分単位あるいは3000歩単位で100Calと換算された。
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