研究概要 |
本研究はジャンプの踏み切り動作により生じる空気力学量を力学モデルを用いて明らかにし,ジャンパーの運動の特徴と空気力学量との関係を分析した.また、平成12年度は平成11年度に引き続きジャンプ競技中の空中での動作を中心に力学モデルを用いて分析した.高速ビデオカメラ(毎秒240)を使用し,札幌市大倉山ではW杯ジャンプ競技の空中初期の動作を,白馬W杯(サマーグランプリ)では2台のカメラを並列させ,空中動作を力学的に解析した.結果を以下にまとめた. (1)空中初期における空気力学量の変化は周期性を持つ. (2)周期性はある周期へと収束する傾向を示した. (3)踏切で発生する運動量の影響により計算された抵抗力と揚力は指数関数モデルにしたがう. (4)空中局面ではP点(白馬ジャンプ台は90m,大倉山は100m)までは揚力よりも抵抗力が大きい. (5)空中局面でP点をすぎると抵抗力よりも揚力が大きくなる傾向が示された. 空中初期の動作と踏切動作との関連については今後さらに検討しなければならない.空中での空気力の周期性と周波数に関しては,単純な数学モデルに近似させたところ,この数学モデルは空気力学量をよく説明できる.特に空中初期は指数関数モデルの項を考えたが,運動量の減衰を巧く説明できる.空中においても指数関数項の導入を検討しているところである.指数関数項が示す本資料は選手の踏切動作と空中初期の技術指導に対して有効と考えられる.
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