研究概要 |
【目的】消化機能の維持・増進を目的とした運動処方の確率のために、膵外分泌と運動習慣について検討した.昨年に引き続き消化管ホルモンであるCCK阻害剤であるCR1505投与の影響を検討し,特に膵組織中の酵素活性、(アミラーゼ・リパーゼ)とDNA含量について検討を加えた.【方法】F344雌ラットをコントロール(C)群,CR1505投与(CR)群,CR1505投与&持久的トレーニングのCR-T群,持久的トレーニングのみのT群に4群分けした.持久的トレーニングは35m/分のトレッドミル走を週5日,8週間負荷し,CR1505は10mg/kg体重を週に5日,8週間皮下投与した.【結果】CR群ではC群に比較して膵外分泌機能にほとんど変化は認められなかった.T群では,膵重量・蛋白含量,アミラーゼ,リパーゼ活性がC群,CR群に比較して有意に増加した.DNA含量には変化はなかったが腺房細胞の電顕像では細胞や酵素原顆粒の肥大等が認められた.一方,CR-T群では,膵蛋白含量ならびに酵素原顆粒の数の増加は観察されたが,膵重量ならびに細胞や酵素原顆粒の大きさ,DNA含量には変化が認められなかった.また酵素活性は,C群に比較するとやや増加傾向にあったが,T群に比較するとその増加は小さく,CR-1505投与により膵外分泌機能へのトレーニングの影響が少なくなっていた.【考察】持久的トレーニングによる膵重量の増加は,DNA含量の結果から腺房細胞の増殖ではなく、肥大によることが明らかになった.これはCCK阻害剤であるCR1505投与によって認められず,運動習慣による膵肥大にはCCKがmediatorとなっていた.また,膵蛋白の増加は,、膵酵素の合成や貯蔵の増加によることも判明し,これはCR1505投与ラットでも起こっており、運動習慣による膵外分泌亢進はCCK以外の関与によっても起こる可能性が示唆された.
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