研究概要 |
本研究は,研究最終年度であることから,これまでの実験成果を総説(運動生化学雑誌)および図書(高所,運動生理学的基礎と応用)としてまとめた.以下に,その概要を記す. 1)高所(運動生理学的基礎)のなかで,循環機能についてまとめた.特に高所での急性運動時の肺循環機能および体循環機能の変化,慢性高所滞在後における肺循環機能および体循環機能の変化,さらに,トレーニング後における肺循環機能および体循環機能の変化について検討した.その結果,高所トレーニングにおける循環機能の変化には,肺循環での影響が大きく,体循環機能では心筋の機能に変化が生じることが確認できた. 2)運動生化学雑誌の総説において,血管内皮細胞由来弛緩因子(EDRF)がNOと同定(EDRF/NO)されて以来,NOが血管弛緩因子として注目されきた.血管系においては,内皮細胞の産生するNOが局在循環したり,血圧調節に関与することは広く知られている.本研究おいて運動トレーニングにより安静,運動および低酸素曝露時に慢性的に産生が増大したEDRF/NOは,肺血管において血管内皮に由来する放出であることが確認でき,持久的運動能力の向上に寄与していると思われる.
|