高齢者の体力および血液性状がその後の余命やADLに与える影響について検討することを目的に、昭和61年から63年に実施した「体力・運動能力実態調査」(血液生化学検査を含む)への参加高齢者310名を対象として、現在およびその間の身体・生活状況調査を行うとともに、既に死亡した者については死亡状況(死因、就床期間等)などを調査した。 研究期間は2年で、平成10年度には、ベースラインの測定調査データの整理を行うとともに、対象者のべースライン時から現在までの身体・生活状況の概要をアンケート調査(郵送法)によって把握し、平成11年には、前年度の結果に基づき、本人あるいは家族に直接面接や電話などによって聞き取り調査を行い、データを補完し、以下の結果を得た。 ベースラインデータの解析から、高齢者の肥満度や血清脂質値、血圧値には地域差が認められ、特に都市部高齢者に肥満が多く、高脂血症や高血圧の合併率が高いこと(京府医大誌1998年)や、高齢者での肥満や高脂血症、高血圧の出現率と就業率は負の相関があり、何らかの仕事をしている高齢者に肥満、高脂血症、高血圧の少ないことが示された(論文作成中)。また、現在生存の確認されている者は(164名)、既に死亡した者(50名)、転出などで生死の不明な者(93名:不明群)に比べ、年齢調整後のべースライン体力が優れ、血圧や血清脂質の異常値出現頻度が少ないことが明らかになった(論文作成中)。
|