本研究においては、高齢者の活動余命を推測する指標としての体力の有用性に関する研究を実施し、下記の結果を得た。 1.高齢者の体力と日常生活動作遂行能力の現状に関する研究 地域在住の自立した高齢者の脚伸展パワー、脚筋力、握力および開眼片足立ちおよび日常生活動作遂行能力についての現状を把握することができた。 2.高齢者の身体的自立に必要な体力レベルに関する研究 高齢者の生活機能の自立に必要な体力レベルについて検討した。その結果、脚伸展パワーは、男性では14.1W/体重kg、女性では9.3W/体重kg以上あること、また脚伸展力は、男性で1.0kg/体重kg、女性では0.8kg/体重kg以上あることが望ましいことが示唆された。 3.高齢者における両側性機能低下と体力および日常生活動作遂行能力の関係に関する研究 高齢者の筋力の左右差による両側性機能低下は高齢者の脚伸展筋力やパワー水準判定のための手段となることが示唆された。 4、体力とミネラルとの関係に関する研究 マグネシウムと亜鉛の尿中排泄量が多い人では、握力が低く、平衡維持能力も低い傾向にあった。このことから、高齢者の場合、筋力を維持できない場合には、筋中のマグネシウムや亜鉛を細胞内に維持できない機構が想定された。 以上の結果から、高齢者の活動余命を推測する指標としての体力の有用性が示唆された。
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