3年計画プロジェクトの1年目にあたる本年度には、次年度以降の市町村行政当局・商工会議所・進出企業にインタビュー調査・アンケート調査を行うための基礎的作業を行った。すなわち、全国の産炭地域市町村について、国勢調査・事業所統計調査・商業統計調査・工業統計調査・生活指標調査などを用いて、炭鉱稼働時から現在までの「地域経済状況の変遷」「住民の社会経済的状況の変遷」を把握し、それらに主成分分析法を用いて産炭地域の類型化分析を行った。その結果、産炭地域振興法の成果が十分に現れ疲弊が解消され、地域振興が図られた地域と、振興法の成果がまだあらわれず疲弊が解消されない地域に、二極分化していることが明らかとなった。この二極分化現象は、産炭地域生活圏間でも、産炭地域生活圏内でもみられた。 また産炭地域の現状について、北海道通産局・九州通産局、北海道庁・福岡県庁、および夕張市・美唄市・飯塚市・大牟田市などの行政担当者、当該地域への進出企業経営者に対する聞き取り調査を行った。そして、産炭地域行政にあっては国の機関:「特別な支援をする時代は終わった」、地方の機関:「特別な支援は必要」というジレンマ、雇用創出にあっては行政当局・住民側:「良い仕事がない」、進出企業経営者側:「良い働き手がいない」というジレンマが生じていることが明らかとなった。 さらに申請者が総務庁統計局より提供され独自集計していた「就業構造基本調査」原調査票資料(昭和57年・62年分)を用いて、統計的手法による分析を行った。そして、職員-鉱員-組夫という炭鉱労働者三階層グループごとに、炭鉱労働者・離職者および家族における職歴・学歴・労働意識・生活意識に、有意な違いが存在することを明らかにした。
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