3年計画プロジェクトの2年目にあたる本年度には、国勢調査・事業所統計調査・商業統計調査・工業統計調査・生活指標調査などを用いて、1987年4月1日以前に指定されていた旧産炭地域地域について、「地域経済状況」「住民の社会経済的状況」の資料収集・分析作業を行った。その結果、87年4月以降も指定されていた産炭地域とは違って、同じ県内の過疎地域よりも、旧産炭地域は「企業進出」「製造業活動」「人口増加率」「地方自治体の財政力」の点で、地域振興の成果があげられていることが明らかになった。 そして、昨年度に引き続き、九州通産局・長崎県庁・福岡県山田市・長崎県高島町などの産炭地域振興担当者および元担当者に対して、聞き取り調査を行った。そして、1)国による産炭地域振興の目標レベルが、「一般の過疎地域なみ」に達したかどうかであること、2)昨年度明らかにした産業立地条件の悪い産炭地域では、生活基盤の整備・福祉制度の整備に重点を置いた生活地域をめざす地域振興の計画が主流になりつつあること、3)しかしその政策を進める上で、かつて産炭地域であることのイメージの悪さが問題になっていること、4)産炭地域には、住民に社会的疲幣の後が根強く残っていることが明らかになった。 さらに申請者が総務庁統計局より提供され独自集計していた「就業構造基本調査」原調査票資料(昭和57年・62年分)を用いて、炭鉱労働者・炭鉱離職者のうち、今年度は特に、その家族について統計的手法による分析を行った。そして、職員-鉱員-組夫という炭鉱労働者三階層グループごとに、家族にいても職歴・学歴・労働意識・生活意識に、有意な違いが存在することを明らかにした。
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