1.平成12年度は、フィールドワークとして動力水車の調査を北海道千歳市、岡山県津山市、再調査として岐阜県瑞浪市、揚水水車の再調査を岡山県倉敷市で、資料調査を福岡県浮羽郡吉井町で行った。 2.動力水車の調査:北海道千歳川では、秋に遡るサケを捕獲するための捕魚車の聴取を行った。この技術は明治29年に導入されたものであるが、基本的には百年前の技術がそのまま現在も用いられていることを確認した。津山市では、昭和初期に設置された集落内の共同利用の揚水水車が、水車講によって運営されていたが、現在、利用者がいなくなり、維持・保存が困難となっている問題を検討し、有形民族文化財等に指定し、保存に努めるべきであるとした。 3.揚水水車の調査:昨年に引き続き、岡山県倉敷市の二つの揚水路に掛かる21台の揚水水車を集中的に調査し、この揚水水車の残存要因が土地条件と密接な関係があることを明らかにした。 4.資料調査では、福岡県浮羽郡の明治時代の『水車台帳』のコピーを入手した。これは、当時の水車の課税台帳といえるものできわめて貴重であり、それによると精米水車が冬期には砂糖搾り水車に転用されており、新しい地場産業分野への水車の利用が図られていたことが判明した。
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