1950年95ネンまでの、長期の人口移動分析に必要な、データの整備とそれを使った、都道府県を大都市圏と非大都市圏をの分類した大地域と都道府県という小地域での移動数の推移と年齢別の移動率パターンを中心とする考察を行った。 データの整備に関しては、1950年から95年までの5年を1期とする総計9期分の、都道府県別・男女・年齢5歳階級別の純移動数と純移動率の推計を行った。 これらのデータの分析から得られた結論は、(1)いわゆる人口移動転換が戦後の日本でも見られたと言うことを示しているが、これを年齢別に見ると、10〜19歳の年齢階層は一貫して流入超過であって、この年齢層に限って言えば、人口転換があったとは言えない。他方、20〜34歳では、1965年間ではかなり高い流入超過率を持っていたものの1970年以降流出超過に転じていて、この年齢層では人口転換があったとはいえる。また、年齢別の純移動率を累積して得られた、コーホートの加齢による滞留率(大都市圏の場合。非大都市圏では残留率)を見ると、どのコーホートもある年齢以上では滞留率(残留率)が一定の水準に収束していて、大都市圏においてはいずれも100%を超え、非大都市圏では100%を下回り、人口分布に対する影響という意味では、人口転換が起こったとはいえない。(2)都道府県別に見た年齢別の純移動率は多彩であるが、これをまとめると、大都市圏型と非大都市圏型とに大きく別れる。大都市圏型は10〜14歳あるいは15〜19歳を中心とする流入超過を特色とするパターン、非大都市圏型はその逆の、10〜19歳での流出超過を特色とするパターンである。
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