本年度は、2年計画の研究の初年度に当たるため、主としてブラジル日本人移民に関する研究上のアドバイスを受けることと、資料の収集に力を注いだ。具体的には、1998年6月にサンパウロで日本人移民90周年記念式典があったため、それに合わせてサンパウロに約10日間赴き、そこに集まって来られた日本人一世の方々、そしてサンパウロ人文科学研究所、ブラジル日本文化協会付属の移民史料館、さらにサンパウロ大学の日本文化研究所の研究者たちに会い、研究上あるいは資料収集上のレビューを受けた。その後、東京の外務省外交史料館や国立国会図書館、あるいは日本からのブラジル移民送出団体であった日本力行会などに所蔵されている史料を閲覧し、必要箇所を複写した。また、ブラジル日本人移民史関係の書籍や日本人移民の住所録・年鑑類を購入した。さらに1924年〜1926年頃のブラジルで発行された日本語新聞のマイクロフィルムを購入したり、サンパウロの友人に依頼して日本移民史料館所蔵の日本語新聞『南米』の写真撮影を行った。 以上のような資料収集を行う過程で、現在とくに1924年〜1926年頃を中心としたブラジルにおける日本人の職業や団体の地域的展開について研究を進めつつある。来年度は再度ブラジルに赴いて、サンパウロのみでなく周辺地域にも現地調査によって日本人一世から聞き取りを行うなど、より広範囲に資料を収集し、来年度末には研究をまとめ報告書を出す予定である。
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