研究概要 |
1.テフロクロノロジーに基づく河成礫層の精査 十勝平野南部において諸河川の段丘礫層およびテフラの補充調査を実施した. 十勝川河口付近から釧路にかけて,完新世の火山灰について精査を行い,完新世の地形変化の編年に関する基礎的な資料を得た. 2.現河床砂礫の水文学的検討 現河床礫,数層準の段丘礫の粒度組成調査結果について,陸水物理学的解析を行った.その結果,氷期の河川の剪断応力が,現在の河川に比べて小さいという従来の見解とは異なり,両者はほぼ同じ値を示した.このデータは,氷期の河川が著しい堆積を引き起こした原因は山岳上流域における土砂の供給の増大にあることを強く示唆している. 3.水文環境の急変と河川の応答の検討 人間活動(森林伐採:開墾)によって水文環境が劇的急変していることを示す地形,堆積物および葦群落について基本的な野外資料,気象資料,開墾に関わる歴史的資料の収集,解析を実施した.森林伐採:開墾による水文・地形・土壌環境の劇的な変化に対する河川の応答モデルの基礎として検討している. 4.山岳永久凍土環境の調査 日高山脈のポロシリ岳〜トッタベツ岳周辺において,簡易温度計20台による観測資料を回収し,雪面下温度の情報を得た.この資料に基づいて,日高山脈山頂周辺における永久凍土分布の可能性について検討を行っている.
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