研究概要 |
本研究では、東京とメキシコシテイを例にして,メガシティの持続可能性を都市気候学的ないし生気候学的視点から明らかにした.調査項目は、月平均気温、月最高気温、月最低気温の経年変化とそれらの平均偏差の経年変化、真夏日、熱帯夜、真冬日の日数の経年変化、不快指数、季節別相対湿度の経年変化、大気汚染濃度(硫黄酸化物、窒素酸化物、光化学オキシダント)の水平分布である。なお、同様な調査を大阪と名古屋についても実施した。以上の結果から、1900〜1930年の期間は都市化の影響はほとんど受けていない。気温に対する都市化の影響は1960年代以降に顕著になった。より詳しくみると、都市化の影響を最も強く受けているのは冬期の最低気温で、1950年以降顕著になった。最高気温は変動が非常に大きいのが特徴である。回帰線の傾きが最大になるのは冬季の最低気温で、最小は秋季の最高気温であった。熱帯夜は、東京では1950年以降増加、特に1980年代以降急増している。大阪、名古屋も、1960年代以降急増し、真夏日や平均気温の変化とは一致せず、明らかに都市化の影響である。 メキシコシティについても月平均気温、月最高気温、月最低気温の経年変化、都市内外の気温の経年変化、ヒートアイランド強度の季節変化を求めた。都市化の影響が最低気温に最も明瞭に出現することは東京と同様である。雨季、乾季では、乾季により明瞭な影響がみられた。年降水量、乾季、雨期の降水量の季節変化、降水量に与える都市の影響、時刻別・時期別の降水出現頻度、相対湿度、比湿、年平均風速、日照時間・日射量の都市内外の変化を求めた。 東京とメキシコシティを比較した場合、東京では四季が明瞭なことであり、メキシコシティでは雨季と乾季の二つの季節であることと、盆地であり、標高2000m以上の場所に位置していることである。都市の持続可能性を考えた場合、東京では夏季の最低気温と最高気温、その出現頻度が重要である。熱帯夜の解消は都市の持続可能性にとって不可欠である。
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