研究概要 |
本研究は,インド-ユーラシアプレート境界の活断層の諸特性をアメリカが1960-1970年代に撮影した高解像度の衛星写真を用いて解析し,地殻変動の特徴を広域的に把握することによって,典型的な衝突境界である本プレート境界の特性を明らかにしようとするものである.平成10年度においては,次のような研究を実施した. 1. 調査地域選定画像の入手 ヒマラヤ衝突帯のうち,インドおよびネパールヒマラヤ南麓地域のいわゆるスパイ衛星の画像をインターネットを利用して検索し,実体視可能な画像セットを入手し,具体的な調査地域の写真を引伸し研究の準備をした. 2. 画像実体視作業 既に地形図判読や現地調査によって活断層の分布が明らかになっているインド・北ベンガルおよびネパール南東部のヒマラヤ南縁部の前縁帯活断層を対象に,実体視によって地形判読し,地形変位を伴うリニアメントを抽出し,活断層の位置,長さなどの基本的情報を判読し地図化した.また,これまでの調査結果と比較し,判読作業の精度をチェックしその有効性を検討した. 3. 新たな活断層の発見 ネパール南東部のヒマラヤ山麓からベンガル平野にかけて北西-南東方向に発達するとされている活断層の北部を構成する断層線を北ベンガル平野で発見し,その性格を検討した. 4. 活断層情報の整備 断層変位を受けた地形面の特徴から,断層変位様式,変位量その成因,形成時期等を推定し,これを基に断層の活動度(平均変位速度)などに関する情報を抽出した.
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