研究概要 |
本研究では,インドーユーラシアプレート境界の活断層の諸特性を高解像度の衛星写真を用いて解析し,地殻変動の特徴を広域的に把握することによって,典型的な衝突境界である本プレート境界の特性を明らかにしようした. このため,アメリカが1960-1970年代に撮影したいわゆるスパイ衛星の画像を利用してヒマラヤ南縁部の前縁帯活断層,ヒマラヤ山脈内の活断層,ビルマ(ミャンマー)中部の右横ずれ活断層であるサガイン断層やパキスタン・チャマン断層の詳細な分布とその活動特性を解明につとめた. 本年度は,インドヒマラヤ西部からパキスタン・チャマン断層にかけての地域の衛星写真を検索したうえで画像セットを入手し,その実体視によって地形判読作業を行い,断層地形変位を伴うリニアメントを抽出し,これを地図化した.これによって,活断層の位置,長さ,変位様式,変位量などの活断層に関する基本的情報を整備した.この結果を,これまでの自らの調査結果と比較し,空中写真の利用が困難な地域における活用の可能性と,その有効性を検討した. その結果,研究代表者が提唱してきたカラコルム断層からヒマラヤに延びる活断層系の存在を確認するとともに,この断層の東部がヒマラヤ山麓から約100km南東に延長する長大な断層を形成することが明らかになった.また,これまで活断層の未調査地域であったインド北西部ヒマラヤ山麓地域で,数多くの活断層を発見するとともに,周辺地域の活断層についても多くの知見を加えることができた.
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