研究概要 |
本年度は、ランジェリー素材を通しての熱・水分の移動に着目し、重ね着を想定したときのシミュレーション実験を行った。 ランジェリー用試料には制電加工、吸汗加工、異形断面糸等を使ったポリエステル4種類、キュプラ、ポリエステル/キュプラの交編、絹の計7枚を用いた。熱・水分移動測定装置、サーモラボII型(カトーテック製)を用いて、風洞内の熱板の温度を環境温度+10℃に設定し、試料を通しての顕熱移動量Q_dと熱板上に発汗を模擬する湿潤ろ紙を置きその上に試料をおいたときの水分移動も含めた熱移動量Q_wを測定した。Q_d,Q_wの測定は、熱板と試料の間に2、3、4、5mmの空隙をつくった場合もおこなった。重ね着を模擬するために、ポリエステル100%のブラウス地を用い、熱板の上にランジェリー素材とブラウス布を重ねた場合またブラウス地とランジェリー布間に5mmの空隙をおいた場合につき、Q_d,Q_w,の測定を行った。実験は温度23.2±0.2℃、湿度70±3%の風洞内でおこない、風速は30cm/secと1m/secの2通りとした。 6枚のランジェリー素材はみかけの密度が高いほど顕熱移動量Q_dが大きい。ブラウス地のQ_dはランジェリー素材よりも大きいが、2枚を重ねることで総熱損失量はランジェリー素材のみの場合の半分以下になることがわかったランジェリー素材とブラウスの間に5mmの空隙を設定した時の熱損失量Q_d,Q_wには、ランジェリーの素材の特徴による試料間の差はほとんどみられなかった。また熱板上に発汗を模擬する湿潤ろ紙を置きその上に試料をおいたとき、布によって濡れ方が異なり、これは水分移動も含めた熱移動量Q_wに影響をあたえている。
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