まず、平成10年度の中学生(425人)、高校生(555人)の生活調査の結果と平成8年度から10年度にかけて行った小学生(870人)、大学生(824人)の同様の調査結果を総合して、発達段階による子どもの睡眠・覚醒リズムと心身の状況や、家庭、学校生活との関連を分析した。その結果、小学生から大学生まで、学年段階が進むにつれて、就寝時刻が遅くなり、小学校低学年では、86.3%が22:00前に就寝するが、大学生では、69%が0:00以降である。それに伴って、起床時刻も学年とともに遅くなり、小学生では98%が7:30前に起床しているが、大学生では66.5%が7:30以降である。このように、睡眠が夜型に移行していく段階を検討したところ、中学生期における変化が最も著しく、0:00以降の就寝率が中一で17.7%、中二で36.3%、中三で54.7%となった。起床時刻の遅れともあわせて検討すると、中学二年生が睡眠・覚醒リズムの夜型化の境界であると考えられる。そこで、中学生に焦点を当てて分析すると、睡眠評価も低下し、日常生活においても、「だるさ」や「疲労」を感じ、「イライラする」頻度も高くなることがわかった。 つぎに、調査結果をふまえ、実験観察記録に同意した小中学生を対象に睡眠・覚醒リズムと生活行動の関連を検討する実験を行った。7日間ActiTrack(連続行動測定器)を装着した中学生女子の結果を分析したところ、睡眠・覚醒リズムが乱れ、睡眠評価が低くなるに従って日中の活動量も低下することがわかり、睡眠の質と覚醒時の行動が連動することが示唆された。同様の実験観察を他の小中学生を対象に3〜4日ずつ行ったが、共通に認められた傾向として、週末の睡眠・覚醒リズムの夜間へのずれ込みと、その後の睡眠評価の低下、および活動量の低下であり、現代の子ども達が休日に活発に活動していない姿が見えてきた。
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