本研究は、駅型保育所が顕在化させた新しい保育ニーズについて明らかにするとともに、今後の保育所の展開方向について考察することを目的としている。平成9年度、平成10年度には、駅型保育所および比較対照として認可保育所に対して運営者に対するヒアリング調査、利用者調査を実施した。 今年度は、小規模であること、保育時間が弾力的で柔軟な運営がしやすいこと、利用者にとって利便性の高い立地であることなどの点で、駅型保育所に類似している民間施設として、集合住宅に付設された保育施設をとりあげて研究を進めた。研究方法は、1.『住宅情報』誌を資料として、近年の集合住宅に付設する育児関連の施設・サービスの動向を分析する。2.集合住宅の分譲元に資料請求を行うとともに担当者にヒアリング調査を実施する。3.事例調査として、視察およびヒアリングを行う。 上記のうち、1.2.については、現在詳細な解析を実施中であるが、共用施設としてはキッズルーム、託児所、サービスとしては電話による育児・健康相談のほか、ベビーシッター派遺などが実施されており、無認可保育所も少数だが付設されていることが判った。3.の分譲マンションの事例調査では、2ケ所について行い、それぞれの分譲会社についてもヒアリングを実施した。その結果、利用者をマンション入居者に限定している無認可保育所では、当初の見込みより利用者がかなり少ないこと、無料のキッズルームはよく利用されていること、入居者に限定していない無認可保育所では、幼児だけでなく小学生低学年も利用し、保育時間が多様であるなど駅型保育所と同様、認可保育所の保育サービスには適合しない層の利用がみられることが判った。
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