我が国にはおよそ3万5千戸あまりの「輸入住宅」が存在する。しかし輸入住宅の維持管理に関しての住み手の側からの研究は充分されていない状況である。本研究では、資材の大部分を輸入材を用いて建設された一戸建ての住宅を輸入住宅としている。 本研究の目的は、輸入住宅の損傷の状態、居住者による維持管理の実態と意識、輸入住宅における住まい方、および住まい方が維持管理におよぼす影響について、あきらかにすることである。調査対象地は近畿圏にある計7箇所の輸入住宅群であり、居住者に留め置きアンケート調査を行った。有効回収率106、回収率39%である。調査時期は1998年10〜12月、1999年7〜8月である。 結果は次の通りである。1.痛みやすい部位は外壁、建具、給排水衛生設備である。2.日頃掃除しにくい個所は窓、吹き抜け部分、じゅうたん、網戸である。3.台所は家族のコミュニケーションのための役割を果たしているが、換気扇の効力が弱い、手入れが困難、という不満の声が比較的多い。4.役4分の1の主婦は専用の個室を所有しており、親と同居している主婦は個室所有の希望率が高い。5.「個室所有は家族間のコミュニケーションにとって問題ない」と思っている主婦は、個室を所有している主婦層に多い。6.家族間のコミュニケーションが良好であれば、維持管理行為が比較的よく行われている。
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